Maintenance

橋梁のメンテナンスについて

浅野川大橋・犀川大橋が架橋かきょうから100年を迎えられるのは、適切に維持管理を行ってきた成果でもあります。
専門的な内容も含みますが、こちらのページでは橋梁のメンテナンス方法等をご紹介します。
両橋の管理者である金沢河川国道事務所では、これまでも、そして、これからも適切なメンテナンスに取り組んでまいります。

橋梁の維持管理について

About

パトロールの実施

原則2日に1回※パトロールを実施し、路面の異常や部材・附属物ふぞくぶつの損傷等が生じていないか確認しています。
※高規格道路などは原則1日に1回

定期点検の実施

我が国の道路施設は、高度経済成長期に集中的に整備されたため今後急速に老朽化することが懸念されており、一部の道路施設において問題が顕在化しています。これに対応するため、平成25年度の道路法改正にて、5年に1回の頻度を基本とし、近接目視による点検を行うことが定められ、メンテナンスに関するルールが確立されました。

メンテナンスサイクルの構築

老朽化への対応として、「点検」「診断」「措置」「記録」を行うメンテナンスサイクルを回す仕組みを構築し、取組を進めています。
適切なメンテナンスを行うことにより、橋梁を長寿命化し、道路利用者 が安心して使い続けられる道路を実現することを目指しています。

メンテナンスサイクルの構築
  • 点検

    道路法や道路橋定期点検要領に基づき、5年に1度を基本とした近接目視による状態の把握を実施しています。

  • 診断

    次回点検までの措置の必要性についての所見を示します。

    部材毎の判定事例(判定区分Ⅲ)

    道路橋毎の健全性の診断

    道路橋毎の健全性の診断
  • 措置

    点検・診断の結果に基づき計画的に修繕を実施しています。

  • 記録

    点検・診断・措置の結果をとりまとめ、公表しています。https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/yobohozen_maint_index.html

浅野川大橋での取り組み

Asanogawa Bridge

2011年度に補修工事を実施

2011年度にコンクリート部材のうき、ひびわれへの対応として断面補修だんめんしゅうふく工、ひび割れ注入工を行いました。

  • 断面補修工うき、剥離等で劣化したコンクリートを除去し、新しい材料で埋め戻して健全な状態に戻す作業
  • ひび割れ注入工コンクリートのひび割れに補修材料を注入して隙間を塞ぐ作業

2020年度に定期点検を実施

直近では2020年度に定期点検を実施しており、健全性「区分Ⅱ(予防保全段階)」と診断しております。

浅野川大橋の構造

Trivia

浅野川大橋は「アーチ橋」という構造形式です。橋の上から力がかかると、両端から内側におす力がはたらき、橋が支えられています。
古くは古代エジプトや、ローマ時代から、石造りのアーチ橋が造られていました。
浅野川大橋の壁面はタイルで化粧されていますが、本体は鉄筋コンクリートで造られています。

浅野川大橋の構造

犀川大橋での取り組み

Saigawa Bridge

2018年度に補修工事を実施

2016年度の点検結果で健全性「区分Ⅲ(早期措置段階)」と診断したことを受けて、鋼材、床版、伸縮装置の補修を2018年度に行っています。

2018年度に補修工事を実施
  • 1腐食で薄くなった銅材のあて板補修

  • 2腐食した銅材の交換

  • 3劣化した床版を修復

  • 4がたつく伸縮装置を交換

橋梁補修工事としては全国初の契約方法を採用

犀川大橋は、周辺交通・環境への配慮が特に必要で施工の効率化ができる補修設計が必要であること、古い橋梁であり不可視箇所の詳細が不明のため事前の詳細な設計ができないこと等の理由により、橋梁補修工事としては全国初となる「技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ)」にて補修工事を発注しました。
通常、設計時には施工者は関与しませんが、技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ)は設計段階から施工者が関与し、施工者の専門知識を設計に反映し、円滑に施工することができる契約方法です。

2021年度に定期点検を実施

直近では2021年度に定期点検を実施しており、健全性「区分Ⅱ(予防保全段階)」と診断しております。

犀川大橋の構造

Trivia

犀川大橋は「トラス橋」という構造形式です。トラスとは三角形の集合体のことで、それぞれの部材が圧縮や引張の力に対応し、橋を支えています。犀川大橋はその中でも斜材を交互に配置した「ワーレントラス」という構造になります。
犀川大橋は道路橋としては日本最古のワーレントラス形式の橋梁です。

犀川大橋の構造

リベットでの接合

Trivia

犀川大橋は鋼材の接合に、現在の新設橋梁には基本的に使用されていない「リベット」を用いています。
昔は主要な接合方法だったリベット接合は、時代とともに溶接での接合に変わったことから、施工できる職人が少なくなっており、現代では施工が難しい接合方法です1)2)3)。
このような細部からも犀川大橋が歴史ある橋であることがうかがえます。

  1. 一般社団法人 日本橋梁建設協会HP:橋つくりの歴史
  2. 末廣ら:リベット継手の残留応力生成機構に関する解析的検討,
    鋼構造論文集第27巻第107号,pp.87-95,2020.
  3. 木村ら:腐食桁におけるリベットの継手強度と高力ボルト置換に関する
    基礎的研究,構造工学論文集,土木学会,Vol.55A,pp880-888,2009.
リベットでの接合